藪萱草(ヤブカンゾウ)
夏の山野草です。それほど珍しくもなく、田舎道ではよく見かけます。八重咲きのヤブカンゾウ(藪萱草)、一重咲きのノカンゾウ(野萱草)があります。
この美しい花を見ていると物事を忘れてしまうことから、別名「忘れ草」と呼ばれ、日本古来より愛され続けています。
忘れ草 わが紐に付く
香具山の 故りにし里を 忘れむがため
万葉集 大伴旅人
この時期に、ヤマユリとオニユリも、よく見かけます。こちらは、田舎道より野山に生えています。名前に「ユリ」が付くように、草叢の中に凛と1本立ちした先にユリの花を咲かせています。
ヤマユリにオニユリは見て毒々しく、怖い花でした。雄しべに手を近けると、花弁を突然閉ざして、パクッと食べられてしまうような気がしました。
藪萱草は、花全体が、ほんのり温かなオレンジ色で、見て安心でした。よく1本摘んで持ち帰ったものです。